設立趣旨書

【現代社会の抱える問題、その解決のために】
 「人間関係の希薄化」は、現代社会が抱える大きな問題の一つである。密接な人間関係が構築された相互扶助を基盤とした暮らし、すなわち共生社会は、都心への一極集中やインターネットの普及が示すような時代の変化とともに廃れ、人と人との繋がりがかつてほど重要視されないものへと変容した。地域コミュニティにおける連帯意識が薄れ、物事が個々人で完結することが多くなった現代は、利便性と引き換えに疎外感や孤立感といった社会的分断を生み出し、コロナ禍で急速に進展した「オンライン化」がその流れに一層の拍車をかけている。この状況が継続すれば、社会的に分断された人々の漠然とした不安を解消することは困難であり、孤独死や自殺、引きこもりや不登校といった現代的社会的問題は今後も増加の一途を辿るであろう。
先人たちが育んだ人と人とが結びつき共生する健全な社会が、人と人とが分断された拠り所のないものに置き換わりかねない危機を迎えている今、私たちに求められているのは「芸術」の重要性を再認識することではないだろうか。
芸術は人間の実在を知るための基本的な一つの方法である。古来、芸術作品や芸術活動は、人々に共通の楽しさや感動をもたらすことで心の拠り所と繋がりを創り出してきた。そして、人々は芸術を通じて自己を理解するだけでなく、他者と共感し、他者を尊重する、つまり共生することを学んできたのである。しかし、上記のような現代社会においてその役割が薄れたことで、芸術は「作者」と「観衆」という表層的な一方通行の関係に変化し、いわば商業的利益を追求するための手段となってしまったといっても過言でない。芸術の本来あるべき姿に立ち返り、芸術と人々の関係を本質的、相互的なものにすることで現代社会の抱える人間関係の希薄化を解決する。それが私たちの課題に他ならない。

【NPO法人設立の目的 ―芸術の本来あるべき姿に立ち返るために】
 現在の芸術は大手プロダクションによるリソースの独占等、営利至上主義によるものが多く、一方的かつ権威的なものとなっているため、人々の金銭的負担を伴うサービスが前提となっており、人々が等しく芸術に触れ、共感を得られる状態にあるとは言い難い。
これらの状況に鑑み、本NPOは、
1 種々の芸術を全ての人々が満足に享受できているとは言い難い状況を改善する(金銭的負担の軽減)
2 人々が気軽に芸術活動に参加できるような仕組みを構築する(市民レベルでの展開)
という非営利的な理念のもとに活動を展開することを目的とする。
具体的には、アーティストをはじめ自治体や他団体、さらには将来の人材を育てる学校教育組織とも連携し、より総合的かつ包括的な芸術活動を展開していく。
 なお、本NPOの「法人名PowWow」は、ネイティブアメリカンの言葉で「宗教、民族を超えた部族民すべての交歓の集会」を意味し、本法人の趣旨や理念を端的に表している。

【実施事業ならびに実施予定事業について】
 PowWow設立代表者は日本最大の演劇集団である劇団四季において20年以上にわたり俳優活動を行った。劇団四季で培った経験を活かし実施済みならびに今後実施予定の事業例を以下に記す。

1 SingAlong!事業
 市民がコーラスやダンス等の芸術活動を行う場を提供し、サポートする。当面は自治体管轄の地区センター等、公共性の高い場所において音楽教室(通称:「SingAlong!」事業)を開催する。

2 講演会、セミナー事業
・日本サッカー協会主催の社会事業「夢先生」における講演
・地域や他団体の要請に応じ、学校や企業での講演会やセミナーを実施。2022年夏頃にはPowWow主催の第1回講演会を実施予定。

3 イベント、ライブ事業
 アーティストを招聘し、コンサートイベント等を開催する。運営費はチケット売り上げだけでなくPowWowの会費や寄付金を充当することで、より安価にプロの芸術に触れられるような機会を創出する。