たった4人の子どもミュージカル、でも、感動的！

今日は、夏休み集中講座「子どもミュージカル、ライオンキング」の発表会。

この講座に参加した4人は、姉弟と姉妹の二組。

たかだか、6日間で、果たしてどこまで行けるのだろうかと、正直、素人の私は疑問だった。

小学2年生から4年生で、初めからずーっと、練習中も教室内を駆け回り、先生の話などほとんど聞かなかった子供達だった。

昭和世代に育った私には考えられないほど、先生の言うことを聞かない。このような講座に参加する子ども達は、俗に言う優等生で、ある程度行儀のいい子ども達を予想していた。

初日、「ミュージカルって知っている？」と賀山先生が聞くと、「知らない」とそっけないほどの返事。「ライオンキングを知っている？」と聞くと、「知っている、知っている」と全員答えた。

そこで、台詞の練習をして、賀山先生が、「どの役をやってみたい？」と聞くと、一人の子供が、「私は、やらない」と返ってきた時には、本当に唖然とした。

それでも、賀山先生は忍耐強く、「シンバの役をやりたいヒトー？」と聞くと、男の子が、「僕がやる」と声を上げた時には、私は少しホッとした。そうして、それぞれ、役の説明を賀山先生がすると、役が徐々に決まっていった。

賀山先生の奥様が、ダンスによる準備体操をすると、直ぐに、子供達は反応した。

私はその時、「子供達は、ダンスには興味があるんだな」と直感した。

そんな日々が5日間続いた。そして、今日が発表会。

発表会といっても、いつもの練習の教室で、テーブルを運び出し、観客席を作っただけの簡易的なステージである。

そんな、発表会の朝の話。
地区センターの副館長から連絡が入った。

「今朝、一人の子供が今日の発表会には出ないことを、そのお母さんが言ってきた。何かあったんでしょうか？」

私の家内は、突然の電話にびっくりした。
しかし、前日、その子が帰る時、
「明日は、風邪ひくから来れないと思うよ」と賀山先生に言っているのを聞いたから、家内はピンときたと言う。家内は前日のその子の言動を館長に説明した。

それから、4時間後、我々が地区センターに行くと、いつものようにその子と妹が地区センターに現れた。

我々は、その瞬間、ホッとした。

しかし、その子が、賀山先生に、「今日は練習はするけど、発表会には出ないから」と言うのを聞いた。

すると、賀山先生は、「いいよ、出るか出ないかは自分で決めればいいんだから」と優しく返した。

それから、私は、その子がどんな行動をするのかをじっと見ていた。

その子にすれば、賀山先生の言葉に内心びっくりしたんだろうと思う。なぜかというと、その後の彼女の練習振りが、少し変わったような気がした。

そして、いつもの様に練習を始めた。そして、総仕上げをして、一旦休憩に入った。

その間、その子はホワイトボードに、「ライオンキング」と大きな文字を書き始めた。

他の子も、ライオンの絵を描いた。

そして、観客の入場。
観客は父母の皆さん、兄弟、おじいちゃんとおばあちゃん、そして、館長と副館長など全部で10人程度。
しかし、これだけの観客が来て、いよいよ、幕開けの段階になって、その子にとって、「出ない」と言うチャンスもなかったのであろう。

そして、いよいよ開演。子供達は真剣に覚えたセリフを語り、演技をし、ダンスや歌を歌った。

エンディングの挨拶も素晴らしかった。

観客の皆さんから惜しまない拍手。

私は、この時、感動を覚えた。

そして、この子達はこの瞬間がとても素晴らしい経験になり、飛躍のチャンスを持つことができたのだろうと思った。

親達の目は赤くなっていた。

我々が片付けを終え、最後に、館長・副館長に感謝を述べて帰ろうとしたら、その館長は、「私は涙が出てきました」と言った。
副館長も、一言、「あの子達がこれだけできるとは思わなかった。この企画をしてとても良かった。」と言ってくれた。

たった4人の子供ミュージカル。それがこんな感動を呼ぶとは・・・