代表理事からのご挨拶

当NPOのホームページをご覧くださりありがとうございます。

社会貢献事業への関心がなかなか高まらないなかにあって、こうして一人でも多くの方に興味を持っていただけることは私どもにとっては大変心強い次第です。

さて、私は俳優、歌い手として20余年、舞台の上より社会を見つめ続け、作品と共に育ってまいりました。

 この20年の間に世界は大きく変わりました。IT革命、少子高齢化、スマートフォンの普及、コロナ禍などの様々な出来事に応じるかのように、日本人の生活も少なからず変化しました。また社会インフラは年々手厚さを増し、人々の生活をより安全で効率的なものへと進化させていっています。皆さんの生活もたくさんの便利な仕組みやテクノロジーによって支えられているのです。

その一方で切り捨てられたものも多くあります。古くなった仕組みや必要のなくなった技術など。社会は新陳代謝を繰り返しながら前進しています。消えてしまったものの中には消えてしまったことが意識すらされていないものもあるでしょう。しかし私はこのNPOを通じて、私たちが何か大事なものを捨ててしまっていないか、何かを置き去りにしてきたことで人々に必要なものまで失ってしまっていないか、皆さんと一緒に立ち止まって考えてみたいのです。

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「いつかこういうことをしそうな気がしてたよ。」

NPO設立に際して、私の友人たちからよく聞く言葉です。

私は劇団四季というところで20年以上にわたって俳優、歌い手として活動してきました。劇団四季といえば演劇業界では知らない人のいないエリートの集団です。そんな組織に属していた人間が非営利の社会事業を立ち上げるということは、一般の方からは少し不思議に見えるかもしれません。しかし私のことをよく知る人たちからすれば、そこまで突拍子もないこととは思わなかったのでしょう。

私自身は四季時代にはスター街道まっしぐらとは行かず、主に脇役やアンサンブルとして舞台に立ってきました。若い頃には思うように歌えなかったり、良い役ももらえなかったりと苦しい思いもしたものです。喉を潰してしまったこともあります。一人で苦しんで舞台を楽しく思えない日々も長くありました。そうした中で苦労して得た俳優、歌手としての技術、集団で一つの作品を作り上げることの難しさや素晴らしさを知る経験は、時を経て大きな財産となりました。表現にはルールがあること、発声や肉体の動きには裏付けとなる医学的な根拠が必要なこと、人と人との間にある見えない何かに観るものの心は動かされるということ、そして一人では何も生み出せないということ。どれをとっても世界的な演出家やチームの努力によって確立された、一般の人では経験として知り得ないものばかりです。

私にとって、この俳優としての貴重な経験、技術を皆さんと広く共有し、音楽や舞台芸術を広く一般の方も楽しめるようにしていくのは自然な流れです。また、いつも私たちに潤いをもたらしてくれる音楽家、俳優たちを支援する仲間の輪を広げていくことも私の願いです。

この活動を通して、皆さんと共に忘れてしまってはならない何かを見つけ出し、人々が新しい時代にも生を実感できる生き生きとした社会を実現していく所存です。

非営利活動法人NPO芸術で人々をつなぐPowWow 代表理事 賀山祐介